序章──はじめに:情報技術と個人主体の統合創造モデル

序章──はじめに:情報技術と個人主体の統合創造モデル

21世紀の情報環境において、個人がAIツールと接続しながら多分野にわたる創造活動を行うことは、単なる技術応用を超えて社会文化的意味をもつ営為である。本稿では、AIとの協働によって生成された文章、図像、映像、データ可視化、さらには地域活動における制度設計・表現支援の試みを「自己生成型創造活動」として捉え、情報学的視点から考察する。

特に本稿では、筆者自身が取り組む地域実装プロジェクト(以下「架け橋プロジェクト」)を通じて、AIのプロンプト設計、SNSプラットフォーム最適化、統合カレンダー設計、漫画・小説制作、DaVinci Resolveによる映像生成、Unityによるゲーム試作などの技術的試行錯誤を通じて、いかに「途中の共有=未完性の開示」が創造の連携基盤となりうるかを論じる。


第1章:AI支援によるマルチモーダル生成の展開

筆者は2023年より、OpenAI系ツールを用いたマルチモーダル生成(テキスト・画像・映像・音声)に取り組んできた。以下にその概要を記す。

  • テキスト生成SNS向け記事、PowerPoint資料、PDF形式の論文下書き、小説構想の展開。

  • 画像生成と編集:プロンプトベースのイラスト生成、CLIP STUDIOとの接続に挑戦。

  • 動画生成:SORA、Runway、DaVinci Resolveを通じた5〜60秒の詩的映像編集。

  • 音声と音楽:未着手だが、音声合成・BGM組み込みの可能性を模索中。

このプロセスでは、ユーザーが「完成された成果物の提示者」であるよりも、「途中経過を開示する存在」として他者と接続していくことが重要であると筆者は実感している。


第2章:可視化と制度設計──データと物語の接続を目指して

技術的な挑戦のひとつは、地域のデータをいかに「語れる形式」にするかであった。ここでは特に次のような試みを行った。

  • 統合カレンダーの作成:税制度、季節行事、天体イベント、福祉制度、地域予算の時系列整理。

  • 地図化の試みGoogle My MapsとCSVを接続し、イベントと制度を地理空間に落とし込む計画は進行中。

  • 決算書分析・統計理解:企業・医療法人・社会福祉法人の財務データを解析し、住民共有型クラウドモデルへの接続を模索。

  • Python/Rによる可視化:可視化ツール(matplotlib, plotly, ggplot2等)による視覚表現の一部は試行段階にあるが、エラーの壁に直面している。

可視化は、単なるアウトプットではなく、「対話可能な形式への翻訳」である。視覚メディアを通じて、制度や統計、さらには個人の経験を接続する形式が求められている。


第3章:未完性と創造主体──「途中」の共有というモデル

筆者が提唱する創造モデルは、「完成品の展示」ではなく「未完性の公開と接続」である。マンガ制作の途中、ゲームコードのエラー、地図作成の停滞、それらはすべて「創造の現場」であり、むしろ地域におけるコラボレーションの呼び水となる。

この点は、教育工学やアクティブラーニングの議論とも通じる。正答に向かうことよりも、失敗や仮説の公開が「探究的コミュニティ」を生成する。情報学においても、「プロトタイプの開示」「バージョン履歴の共有」など、未完性は重要な要素とされている。


第4章:SNS・地域・創造の接点としての情報プラットフォーム活用

本プロジェクトでは、目的別に複数のSNS(X, Instagram, Facebook, NOTE)を活用し、対象層ごとの最適化を行った。

  • 若年層向けには85字の詩的X投稿

  • 地域住民にはFacebookで800字の呼びかけ

  • 起業家・クリエイター層にはNOTEで中編エッセイ

  • 専門層にははてなブログで論文形式

この多層的発信は、AIにより文体最適化と自動生成が可能であり、情報社会における「分岐型メディア戦略」の一事例といえる。


結論:AI・創造・地域を接続する情報学的視座へ

情報社会において、個人はもはや受信者でも送り手でもなく、「接続と生成の節点」である。筆者が取り組む「AI × 地域 × 表現」プロジェクトは、情報学的にも重要な以下の問いを提示する。

  1. 未完性の共有は、いかにして社会的創造を促すか?

  2. データと物語の接続において、可視化とは何を媒介するのか?

  3. AIと個人の協働は、どのような倫理・文化・制度を要請するのか?

今後は、比較宗教・惑星科学・宇宙論などとの接続、また芸術大学自治体との連携により、表現・制度・科学を横断する「情報の詩学」とも呼ぶべき新たな学際領域の確立を目指したい。