人に優しい企業を見極めるための要点や計算式

人に優しい企業を見極めるための要点や計算式について考察を続けている

財務諸表を読む際の一般的な分析ポイントについて解説する/・

有価証券報告書の閲覧: 企業の有価証券報告書は、企業の健全性、成長性、リスクなどを評価する上で非常に重要な情報源です。特に人的資本、SEG投資などについての記述は、企業が将来的な成長に投資しているか、またその質を評価する上で役立ちます。

貸借対照表(BS: Balance Sheet):

退職給付引当: これは企業が将来支払う退職給付に関する予想費用です。この金額が大きい場合、将来的なキャッシュフローへの圧力が予想されます。
損益計算書(PL: Profit and Loss Statement):

売上: 企業の主な収入源です。高い売上は良い兆候ですが、それに対するコストも考慮する必要がある。
販売管理費: 売上を得るためにかかる一般的な経費です。この金額が売上に対して不釣り合いに高い場合は、効率の問題が指摘されるかもない。
給与、旅費交通費、福利厚生費: 従業員に対する支払いです。これらは企業の運営に直接関係している。
退職給付引当: PL上でのこの項目は、その期間に計上される退職給付費用を示します。
委託: 外部の業者に仕事を委託した費用です。多くの場合、製造やサービス提供に関連しています。
製造原価: 製品を製造するために直接かかったコストです。これが詳細に分けられているかどうかは、コスト管理の透明性を示す指標となり得ます。

その他の指標:

給与金額+福利厚生費/売上: 給与支払率。これは従業員への支払いが売上に占める割合を示します。非常に高い場合、収益性に影響を及ぼす可能性がある。
給与金額+福利厚生費+研修費用/売上: 人的投資率。従業員への投資が売上に占める割合です。高い場合は、長期的な成長に投資している可能性があります。
大都市外地域支払/全体給与支払額: 地域貢献率。企業が地方経済にどの程度貢献しているかを示す。
大都市外雇用数/全体給与雇用数: これも地域貢献率を示すもので、企業が地方でどれだけ雇用を創出しているかを示す。
派遣/売上: 派遣労働者への依存度を示します。高い場合、正社員ではなく派遣労働者に依存している可能性がある。

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もう一度確認、財務諸表、公開情報にもとづく、分析指標を確認する。

  1. 人的資本: 企業の持続的な成長と競争力向上のための投資対象として、人的資本が注目されています。研修費用や福利厚生費など、従業員への投資は企業の人材育成や雇用安定に貢献すると言える。

  2. 給与支払率: 給与金額+福利厚生費売上売上給与金額+福利厚生費 この率が高ければ、従業員への還元が高いと判断できる。

  3. 人的投資率: 給与金額+福利厚生費+研修費用売上売上給与金額+福利厚生費+研修費用 この率が高ければ、従業員の育成や福利厚生に投資していると判断できる。

  4. 地域貢献率: 大都市外地域支払全体給与支払額全体給与支払額大都市外地域支払 および 大都市外雇用数全体給与雇用数全体給与雇用数大都市外雇用数 これらの率が高ければ、地域社会に貢献していると判断できる。

  5. 外形標準課税: 外形標準課税制度は、企業の事業規模や利益ではなく、資本金や支払利息、地代家賃などの外形標準をもとに課税する制度です。資本金1億円以下の企業はこの制度の対象となるため、資本金を意図的に1億円以下にして課税を軽減する動きが見られる。

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 これらの指標を公開された企業の財務諸表にあてはめ、投資の参考にしてもらい、なをかつ、企業の在り方を転換する要因にできないか
考えて検討している。
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最終的に地域経済、衣食住の自立的経済循環を目指しているので、経済全体の衣食住関連のキ-となるファストリテイリングとイオン
の財務諸表を見てみる。

ユニクロ連結 PL
【連結+A39+A1:A1:C39 第62期
<IFRS> FY2023
百万円単位 (2023/8/31)
売上収益 2,766,557
売上原価 1,330,196
 売上総利益 1,436,360
販売費及び一般管理費 1,054,368
 委託費 62,320
 人件費 383,977
 物流費 106,897
その他収益 12,197
その他費用 14,238
営業利益 381,090
税引前利益 437,918
法人所得税費用 122,746
当期利益 315,171
 合計 315,171

ユニクロ 連結 BS 
【連結財政状況計算書】 第62期
<IFRS> FY2023
百万円単位 (2023/8/31)
資産  
流動資産  
棚卸資産 449,254
流動資産合計 2,176,695
   
流動資産  
有形固定資産 221,877
流動資産合計 1,126,998
資産合計 3,303,694
   
負債及び資本  
負債  
流動負債  
引当金 2,642
流動負債合計 729,260
   
非流動負債  
引当金 50,888
繰延税金負債 67,039
負債合計 1,430,333
   
資本  
資本金 10,273
資本剰余金 28,531
利益剰余金 1,498,348
自己株式 -14,714
資本合計 1,873,360
負債及び資本合計 3,303,694

イオン

イオン株式会社

連結貸借対照表   2023年2月期
資産の部
流動資産 百万円 7,681,759
  有価証券 百万円 508,223
固定資産 百万円 4,659,764
 有形固定資産 百万円 3,301,444
 無形固定資産 百万円 356,026
 投資等その他の資産 百万円 1,002,292
  投資有価証券 百万円 263,947
  退職給付に係る資産 百万円 25,729
資産合計 百万円 12,341,523
負債及び純資産の部
流動負債 百万円 7,477,878
固定負債 百万円 2,893,412
負債合計 百万円 10,371,290
株主資本合計 百万円 908,498
 資本金 百万円 220,007
 資本剰余金 百万円 299,667
 利益剰余金 百万円 411,758
 自己株式 百万円 -22,936
その他の包括利益累計額合計 百万円 84,077
非支配株主持分 百万円 976,482
純資産合計 百万円 1,970,232
負債、純資産合計 百万円 12,341,523
     
連結損益計算書及び連結包括利益計算書   2023年2月期
連結損益計算書
営業収益 百万円 9,116,823
 売上高 百万円 7,961,711
 総合金融事業における営業収益 百万円 403,040
営業原価 百万円 5,778,894
 売上原価 百万円 5,725,286
 総合金融事業における営業原価 百万円 53,608
売上総利益 百万円 2,236,425
営業総利益 百万円 3,337,929
販売費及び一般管理費 百万円 3,128,145
営業利益 百万円 209,783
営業外収益 百万円 36,117
 持分法による投資利益 百万円 5,836
 その他 百万円 21,887
営業外費用 百万円 42,235
経常利益 百万円 203,665
特別利益 百万円 48,048
特別損失 百万円 83,365
当期純利益 百万円 84,371
販売費及び一般管理費の詳細
販売費及び一般管理費 百万円 3,128,145
 のれん償却額 百万円 16,188
 従業員給料及び賞与 百万円 1,087,456
 法定福利及び厚生費 百万円 190,838
 賞与引当金繰入額 百万円 38,260
連結包括利益計算書
当期純利益 百万円 84,371
その他の包括利益 百万円 42,123
     
連結キャッシュ・フロー計算書   2023年2月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 百万円 433,710
 その他 百万円 154,365
投資活動によるキャッシュ・フロー 百万円 -335,123
 銀行業における有価証券の取得による支出 百万円 -612,512
 銀行業における有価証券の売却及び償還による収入 百万円 638,649
 その他 百万円 -7,310
財務活動によるキャッシュ・フロー 百万円 1,853

現金及び現金同等物の期末残高 百万円 1,214,462
ユニクロとイオンの連結決算データを元に、人に優しい企業を見極めるための要点や計算式に基づいて評価してみた。

公開しているデ-タが人的資本、人的投資、に関して、勘定科目等詳細なのか否かが、ポイントになる。

人的投資率

ユニクロ:
= (人件費 + 福利厚生(人件費の一部と仮定する) + 研修費(明示的なデータがないため0と仮定する)) / 売上収益
= (383,977 + (0.3 × 383,977) + 0) / 2,766,557
≈ 0.165 or 16.5%

イオン:
= (従業員給料及び賞与 + 法定福利及び厚生費) / 営業収益
= (1,087,456 + 190,838) / 9,116,823
≈ 0.141 or 14.1%

給与支払率

ユニクロ:
= (人件費 + 福利厚生(人件費の一部と仮定する)) / 売上収益
= (383,977 + (0.3 × 383,977)) / 2,766,557
≈ 0.148 or 14.8%

イオン:
= (従業員給料及び賞与 + 法定福利及び厚生費) / 営業収益
= (1,087,456 + 190,838) / 9,116,823
≈ 0.141 or 14.1%

地域貢献率

この項目に関しては、大都市外地域の明確なデータが提供されていないため計算はできません。ただし、企業の地域貢献活動やCSR活動を報告書やウェブサイトから確認することで評価できます。

外形標準課税

ユニクロ:
資本金 = 10,273 百万円 なので、外形標準課税制度の対象外です。

イオン:
資本金 = 220,007 百万円 なので、外形標準課税制度の対象外です。

評価:

人的投資率において、ユニクロがイオンよりも高く、16.5%であるため、従業員の育成や福利厚生により多くの投資をしていると判断できます。
給与支払率もユニクロがイオンより高く、従業員への還元が多いと判断できます。
ただし、これらの数字だけで企業が「人に優しい」と判断するのは無理がある実際には、職場の環境、企業文化、従業員の声など、組合の有無多角的な情報を基に判断する必要がある。 


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